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名医と迷ランナー第21話

更新日:2016年3月9日

情報系の身体活動Ⅱ

引き続き[情報系の身体活動]を中心に考えて見ましょう。

前回に触れましたが、「スピード」は大変重要です。ここでいう「スピード」とはこれまで私達が習ってきた、速く走るとか、速く動くとかの視点とは異なり、情報を得てから動きを変化させるまでの「反応のようなスピード」と考えてください。
例えば、私達はこけそうになった時に、バランスの崩し具合や自身の筋力、周辺の環境などを瞬時に認識した上で、踏ん張るのか、こけた方が安全かなどを判断し、命令を下して、素早く筋肉が動くことが大切です。単に優れた筋力や持久力を有していたとしてもそれだけでは何の役にも立ちません。

五感からの情報は、眼の見える方であれば、全体の情報量の8割程度が視覚によるものと考えられています。視覚情報が大切であることは間違いありません。しかし、情報を得る割合に重要度が比例しているわけではありません。『後方からの「あぶない」という叫び声』 『 風かみからの「物が燃えるようなにおい」』『足裏で「物を踏んだ時」』など、私達は情報の優先順位を変化させて判断を下しています。なかでも、身体活動を行う上では、聴覚と触覚の役割は重要です。(味覚と嗅覚が重要ではないという訳ではありません)

聴覚の働きは、2つあります。1つは音を聴くことで、もう1つは身体のバランスをとることです。触覚は、触れることで物体の形などを認識する能力です。ヒトの立つ、歩く動作時に重要な触覚は、主に足裏にあります。足の裏(踵、足の指の付け根、足の親指)には多くの受容器が存在していて、例えば立っている時の体重のかかり具合を検知し、その情報を脳に送ります。脳は、先の視覚情報や耳にある三半規管から入ってきたバランスや位置情報を統合して「重心のずれ」などを判断します。そして体が真っ直ぐに位置するように(あるいは転倒しないように)各筋肉に司令を出してバランスをとっています。

これら情報系の身体活動は「特定の感覚を遮断すると、その他の感覚が研ぎ澄まされる」性質があります。そこで、これらの機能に刺激を与えるには「規則的または不規則に変化する情報に合わせて、素早く動きを変化させる」運動メニュー及び「情報(特に視覚情報)を制限した上で、情報を規則的または不規則に変化させて、素早く動きを変化させる」身体活動メニューの2つが必要です。

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長々と説明してきましたが、青竹踏みや足裏マッサージ、タオルギャザートレーニング、開眼片脚立ち、閉眼片脚立ち、バランスボールや不安定ボードを用いたトレーニング、裸足で歩いたり、走ったりは、ヒトの身体活動の基本です。また、これらに加えて不整地を走ったり、クロスカントリー練習を取り入れることは、フルマラソンの競技力向上のための重要な基礎トレーニングです。
情報系の身体活動普及の妨げとなっているのは、これまでの運動の教育そのものに問題があったのかもしれません。残念なことに私達は「トレーニングは頑張る、辛く、苦しく、疲れなければ効果はない」としか習っていないのです。しかし、情報系の基本トレーニングは、疲労困憊まで行っては効果は望めません。リフレッシュした状態で、集中して行ってこそ効果が望めます。情報系の身体活動の基本トレーニングは、楽しく、集中して、いい加減で終えることが大切です。今回の本線ではありませんが、このことが脳細胞を刺激し、認知症やうつ予防の効果も望める理由です。


最もお伝えしたいことは、[情報系の身体活動]は立つ、歩く、走るなど健康づくりにおいて、大変重要なトレーニングだということです。体力科学に関しての研究が進んだ今日でさえ、健康づくりといえばストレッチ、歩行と筋力トレーニング。マラソンといえばストレッチ、全身持久力のトレーニングを中心に筋持久力、筋力トレーニングと捉えている方が多いのが現実です。しかし、健康づくりにおいても競技力向上においても、情報系の身体活動が基礎であり、基礎がしっかりしていてこそ持久力や筋力が活かされます。より長く、より強くは、たくみに動く身体に乗せることが大切です。
今一度、日常生活での身体活動の場面を考えてみてください。転倒しそうになった時、自転車に乗っている時、階段を踏み外しそうになった時、急に振り向いた時、人にぶつかりそうになった時、などなど・・・。

情報系の身体活動は「アクティブライフ」を支える身体活動の基本です。指導者講習会、研修会でバランスボールや不安定ボードのプログラムを習ってきて指導している指導者、施設は数多くあります。しかし、その多くはうわべをまねたプログラムの提供でしかありません。常に最先端の医学、運動、栄養などの情報をリサーチし包括的に統合、整理、理解した上で、個人に最も適したプログラムを提供させていただく、それがメディカルフットネスを冠としているアガーラの自負です。

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